「江戸・明治期の食文化を支えたうつわ」展、開催中です!
熊本国際民藝館令和2年度第2期の企画展は、3回目となる「戸田東蔭コレクション」を企画しました。
木工の指物、挽物を中心とした木工作品を生み出す工芸家であり、日本画家、茶道愛好家としても知れらる戸田氏は、暮らしを支えてきた木工品の見事なコレクションをお持ちです。
その中から、今回は「食文化を支えたうつわ」をテーマに、江戸・明治期のものを中心に展示しています。
戸田氏からいただいたメッセージを入口に掲げています。
螺鈿青海波文四段重(江戸時代)
細かい螺鈿細工が施された漆器の重箱。
なんと、よく見ると波模様に!縁起が良いといわれる青海波文です。ちょっとしたところに職人の細やかな気遣いが感じられます。
四君子螺鈿台付き重箱(明治時代)
四君子とは蘭、竹、菊、梅の4種を、草木の中の君子として称えた言葉でそれらを使った文様も四君子と呼ばれます。
これも螺鈿で見事に描かれています。ちょっと特別な日に使っていた重箱なのかもしれません。
外で食事をするための、いわゆる「お弁当箱」。とっくりが2つもついています。花や月、四季の自然を感じながらみんなでお弁当を囲むひとときにはお酒がつきものだったのですね。
竹造酒樽(明治時代)
お弁当用重箱とは別にお酒を持っていく人もいたようです。小さな酒樽から注がれるお酒は、さぞ美味しかったことでしょう。
さまざまなお弁当箱
漆器のお弁当箱も色や大きさ、さまざまなものが作られています。手に提げて持ち運べるように取っ手がついています。
丸提げ弁当箱(昭和時代)
お箸がセットされたカラフルな弁当箱。一人用でしょうか。互い違いに塗られたお箸もお洒落です。
節句文沈金三段重(明治時代)
五月の節句のときに使われていたであろう、季節や行事を感じる重箱。子どもの成長を喜ぶ思いが感じられます。
季節や行事で器を変える文化は、世界でも珍しい文化だそうです。
天目台(天保14年)
天目茶碗をおくための天目台は、茶たくのような役割のものです。
松竹梅沈金銚子(江戸時代)
細かい沈金細工の銚子。お酒を注ぐ器です。地には唐草文様が描かれ、落ち着いた華やかさを作っています。
ほかにも、日々の暮らしを楽しみながら、器を選び、器を楽しんでいた人々が感じられる器を展示しています。
まだまだ暑いとはいえ、熊本国際民藝館は木々の間を涼しい風が吹き渡っています。残暑を忘れるひとときを、ぜひ、当館でお過ごしください。